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カテゴリー「文化・芸術」の記事

2018年8月17日 (金)

デザインあ展inTOKYO

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日本科学未来館で開催中の「デザインあ展」。親子でEテレの番組の大ファンなので、企画が発表された時から楽しみにしていました。

よく晴れて爽やかな風が吹いた一日、ゆりかもめでお台場の会場を目指すのも気分爽快!

お盆休みの期間だったこともあって、入場には整理券方式だったため、指定された時間まで常設展示を見ていたら、運良くアシモのデモンストレーションが始まりました!

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小さい頃から、行く先々でペッパー君に遊び相手になってもらっている息子は、お母さん何がそんなにうれしいの?という感じでクールな反応でしたが、軽やかな、小走りに近い二足歩行でアシモがステージに登場しただけで、「おぉ、未来…!!」と感動が胸に迫ってしまいました(笑)

「観察のへや」「体感のへや」「概念のへや」「体験コーナー」と、テーマ別にコーナーが構成されている今回の展覧会。
(細かい内容やコンセプトは、「ほぼ日」のこちらの特集でも詳しく紹介されています)

「人のあらゆる営みに、デザインは欠かせません」。だからこそ子どもの時からのデザイン教育が大切…という意図で作られている番組。
大人も、斬新な映像表現で、当たり前に目にしていたものを「これって、すばらしいデザイン!」と気づかされていますが、今回の展覧会でも様々な切り口で気づきを与えてもらいました。

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こちらは「つめられたもの」というタイトルの展示。ます寿司の食材の少なさをdisっている訳ではない(と思う)

番組内のコーナーさながらに、デッサンを実際にやってみることも出来ました(なぜ横から見ているのに正面のどーも君を描くのか…)

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今、息子が一番気に入っているコーナーが「もん」。
紋、つまり日本に伝わる家紋の描き方をひも解いていくのですが、おなじみの色々な形が、ぶんまわし(コンパス)と定規、つまり円と線だけですべて成り立っているというのが鳥肌もの。

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会場内では、4種類の紋について、わかりやすい説明付で実際に描いてみるコーナーがあり、やってみると単純なようで結構難しく(数学的なセンスが必要と思う)、時間が経つのがあっという間でした。

身のまわりに当たり前のように存在しているモノもコトも、デザイン、つまりは誰かの(何かの)「知恵」と「工夫」がそこに潜んでいるということ。

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そのことに思い至るとき、世界の見え方は確かに違ってくるなあ、ととても興奮した体験でした。

2018年8月 5日 (日)

トーハクの休日―「縄文」と「なりきり日本美術館」

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酷暑、という字面が本当によく似合う夏でした。
上野駅から汗を拭きふき、東京国立博物館を訪れました。息子5歳、トーハクデビューです。

当初の目的は、平成館で開催中の特別展「縄文―1万年の美の鼓動」を鑑賞することでしたが、もう一つのお目当てが…

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本館で夏休み期間に合わせて開催されている「トーハク×びじゅチューン!なりきり日本美術館」
息子は、本館の入口で見慣れたイラストを目にした瞬間「こっちからいく!」と譲らず…

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アーティストの井上涼さんが、古今東西の美術作品をアニメーションと共に歌で紹介する、NHKEテレの5分番組「びじゅチューン!」。 

親子で大好きなこの番組のコンセプトが、そのまま最新技術を駆使した体験型の展示になっているのですから、もう大人もワクワクが止まりません!

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菱川師宣の「見返り美人」に自分の動きをシンクロナイズドさせる展示「見返らなくてもほぼ美人」。

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「体感!ザパーンドプーン北斎」のコーナーでは、神奈川沖浪裏のあの大波を実物大(?)で体感することが出来ました。波の気持ちになって富士山にラブコールを叫ぶ試みもあり。

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顔はめパネルの未来形?「顔パフォーマー麗子」のコーナーで、岸田劉生の麗子像に同一化した息子…

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そして、これぞ東京国立博物館でこの企画が催されたポイント。会場を出たら、本物の北斎の浮世絵や麗子像が鑑賞できるのです。

北斎の描いた海のダイナミックさ、岸田劉生の描いた麗子の肩掛けの毛糸の質感…間近に鑑賞して圧倒されるものがありましたが、この作品からあのアニメと歌をたった一人で作りだす、井上さんの才能にも改めて舌を巻きました…
(なお、私の一番好きなびじゅチューンは、ある戦国時代の遺物をモチーフにした「噴火する背中」)

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その後、休憩をはさんで「縄文」も閉館時間ギリギリまで、しっかり観て回りました。
今回の展覧会とタイアップして、テレビなどで様々な特集が組まれたので、学校の勉強ではさらっと流してしまった、縄文時代に対する認識が改められました。

古代のローマやエジプトの歴史を学ぶ際に、「一方、日本じゃまだまだ縄文時代…」と、未開の時代のイメージで引き合いに出され、貶めてきた世代としては、ハッとさせられることも多く、反省も。

1万年もの長い長い時間、確かに続いていた人間の営み。土器や土偶に施された手仕事が、どれほど細かく、芸術的であるか。
教科書の写真では決して伝わらなかったことでした。
足るだけを得て自然の理の一部として生きる、狩猟採集生活が、「農耕社会に進化する手前の段階」という認識は、果たして正しいのだろうか…。

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火焔型土器のレプリカはさわり放題、という贅沢さ。でも、実際に煮炊きに使う土器をどれもこの形で作っていた、って、あの突起部はやっぱりおたま置き?など、妄想はあれこれふくらみ…
充実の一日を振り返りつつ、親子で「縄文土器先生」を歌いながらトーハクを後にしたのでした。「ここ、また来たいね!」と言ってくれた息子の言葉が嬉しかったです。

2018年5月12日 (土)

髑髏城の七人 Season極 修羅天魔

去年の夏に「Season鳥」を観て以来、二度目となるステージアラウンド東京での「髑髏城の七人」鑑賞。

18時の開演前に、しっかりおやつで腹ごしらえをしておきましょうか…と、向かったのは銀座「椿サロン」。

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「北海道ほっとけーき」が目玉メニューのお店。二種類あるうち、最初は基本から…とベーシックな「プレミアム」をいただきました(他に、ミートソースとサラダがつく「ボロネーゼ」があります)。

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「無添加でぷるぷる」というお店の謳い文句を見て、「…ぷるぷる?」と不思議に思っていましたが、運ばれてきた実物は確かに「ぷるぷる」以外の何物でもなかった!

粉の焼き菓子というより、もはやプリンに近いようなやわやわの食感(きれいに断面を見せて切るのは至難の業)で、添えられたバターに粒あん、てんさい糖のシロップをあれこれ組み合わせながら、かなりのボリュームをペロッと平らげました。お口直しのチーズの塩気が絶妙なアクセント。

落ち着いた雰囲気の店内でくつろいで、豊かな気持ちで劇場へ移動しました。きれいな青空の下、ゆりかもめに乗るのは最高!

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という訳で、上機嫌で降り立った豊洲の地。
1年以上続いたお祭り騒ぎの日々が、今回のバージョンをもっていよいよクライマックスを迎える訳で、有り難い場に居合わせていただく感謝の念が沸き上がります。

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ロビーには、「花」「鳥」「風」「月」それぞれの出演者のサイン入りポスターがドーンと掲げられていました。

あえて、まったく予備知識を持たずに鑑賞して、ストーリーの展開にいちいち驚かされた「Season鳥」。
今回は、あらすじが頭に入った上で、配役の違いによるキャラクター作りの変化を楽しんだり、顛末がわかっているのにやっぱり同じところで泣かされたり、見せ場が来るぞーとワクワクしたり…
すでに古典の味わい方で楽しんでいることを、改めて気付かされました。

「極」と銘打った今回の舞台も、すでに「髑髏城の七人」というお芝居が定番の演目として愛されてきたからこそ、主人公を別の人物にして換骨奪胎することが可能だった訳で。
それ故に、最後の最後で物語はどっちにどう着地するのか?ハラハラさせられる見どころもあり、今回も本当に面白かったです。

出演者の中では、「ひよっこ」で優しいお巡りさんを演じていた竜星涼さんのスタイルの良さが、日本男子の体型もここまで来たか…と印象に残りました。太夫の女形も熱演でした。

が、帰りのゆりかもめでは、3分に1回
「やっぱり、天海祐希ってスゴイんだね…」
とため息をついていた同行の友人と私。持って生まれた華の圧倒的存在感に、ひれ伏したくなりました。

2018年4月19日 (木)

四月大歌舞伎~通し狂言 絵本合法衢

四月の歌舞伎座は、昼の部夜の部共に、人間国宝が二役で悪人を演じるという趣向。

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宣伝文句は「悪の桜が咲き誇る歌舞伎座」。
私は、大好きな片岡仁左衛門丈が一世一代、つまりはこれが最後と宣言しての「絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ)」を鑑賞してきました。

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自分の楽しみには、やりくりやら算段やらが必須の身の上。この日も幼稚園から帰った息子を実家に託して、ギリギリ歌舞伎座に滑り込み。
お弁当を買って行く余裕もなくて、場内で以前から気になっていた「グリル梵」の「ビーフヘレカツサンド」を頂いてみました。

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じゃーん!ドーン!見惚れてしまう切り口のルックス(笑)
死屍累々の脂ぎった悪の絵巻にはピッタリの食べ応えで、我ながら大満足のチョイスでございました。

鶴屋南北原作、極悪非道の主人公、侍と町人の一人二役…と、去年の十月に国立劇場で観た「霊験亀山鉾」と印象がかぶる今回のお芝居。
その際も思ったことですが、ご本人はあれだけ心の温かさに満ちたジェントルマンなのに、仁左衛門サマが「自分のことしか愛していない人間」を演じると、何故にこれほど真に迫り、その上魅力的に映るのだろうか。
本当に不思議です。

この日は、出がけに言う事を聞かない息子に手を焼いたこともあり、冒頭で意に沿わない村の子どもをバッサリ斬ってしまう場面など、思わず「いいぞいいぞ!」と心の中でこっそり拍手喝采(笑)

悪の限りを尽くした果てに、最後はどんでん返しの展開で勧善懲悪、となって物語は幕切れ。
討たれたばかりの主人公、大学之助がやおら起き上がって居ずまいを正す様子を見て、近くに座っていた外国人観光客のカップルはビックリした様子でしたが、その時点で場内はもう、割れんばかりの拍手に包まれていました。

予算の範囲内で出来るだけ近くで拝見したい、と、桟敷上の三階席で鑑賞していた私は、
「まずこんにちはこれぎり」
という切り口上を述べる横顔を見つめる格好になりました。
その表情にも声音にも、全身全霊今日もお役をやりきりました、という思いが溢れているのが伝わってきて、ああ、この場に一緒にいられた幸せよ…と感涙。

こんなに素敵なのに、まだ充分すぎるほど見事なのに、もう自分で幕を下ろしてしまうのか、でもご本人にしかわからない「域」がある以上、これも仕方のないことなのだ…と、万感の拍手を送った夜でした。

千秋楽には、喝采が鳴りやまず、楽屋ですでに着替えていた仁左衛門丈が舞台に戻って異例のカーテンコールをされたと聞きましたが、それだけのことを観客にさせる見事な一世一代の舞台でありました。見届けた証人の一人になれて本当に良かったです。

2018年3月17日 (土)

江戸は燃えているか

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作・演出、三谷幸喜。幕末の江戸無血開城をめぐる、勝海舟と西郷隆盛の会談に秘められた裏話、という設定の群像劇。

…と聞いただけで、面白くない訳がない!お誘いいただいて、大喜びで鑑賞してきました。

期待に違わず大いに笑って笑って。

松岡茉優、高田聖子、飯尾和樹といった脇役一人ひとりの持ち味がそのまま役柄に生きて、当て書きの妙味を堪能しました。(去年の「氷艶」で、地獄大夫として氷上を跳ねていた中村蝶紫さんもキレのいいお婆さんを熱演)
言いそうな人が言いそうな事を言い、やりそうな人がやりそうな事をしでかすだけなのに、それがすごく可笑しい!

そんな中、座長格の貫禄を漂わせていた中村獅童は圧巻でした。
客席はおろか、同じ板の上の仲間さえも力わざで笑わせてやる、驚かせてやる!という気迫に、今は亡き中村勘三郎のスピリットが受け継がれているのを見た気がしました。

その昔、NHKで放送していた「てんぷく笑劇場」とか「コメディーお江戸でござる」といった喜劇の記憶がある世代としては、どこか懐かしさも感じました。

それだけ、安心して笑っていられるお芝居、という心構えで楽しんでいただけに、カラフルな絵巻に墨が一滴落ちたような、幕切れのエピソードはどう捉えたらよかったのか…
私の周囲では、これもギャグかと笑い声をあげて、その後困惑している観客もちらほら。

幕末太陽傳を意識したのかなぁ、光の側には影がある、っていうことかなぁ…などなど、語りあいたいことがあれこれ。
終演後、軽くお腹に入れたいね、と友人と歩いているうちに、お互い足を踏み入れたことがなかったGINZA SIXへ。

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あれこれ検討した結果、「銀座真田」に落ち着いて、楽しかった夜に乾杯。
日本酒ベースの、ブラッドオレンジのお酒を手に、久しぶりの大人な空間にご陽気な私(笑)

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つまみは出汁巻き玉子に、野沢菜の天ぷら。お漬物が揚がっているという不思議、箸が止まらなくなる美味しさでした。締めに選んだくるみだれせいろも絶品。
何から何まで、いい時間を過ごしたねー、と満足して帰路につきました。

先月、葉ごろも着付け教室のオーダーメイドレッスンを受講して以来、初めて着物を着て出かけました。

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グレーの地色にあずき色の麻の葉模様が描かれ、遠目にはくすんだピンク色に見える江戸小紋。開花宣言が出た直後だったので、桜模様の帯に小物も春らしさを意識して。
レッスン前よりはスッキリと、3キロ痩せて見える着付に近づいているかな?今後も精進していいきたいです。

2018年3月11日 (日)

三月大歌舞伎

3月11日、歌舞伎座上空は晴れ。
通りを渡ったところにある、岩手県のアンテナショップに立ち寄り、黙祷を捧げてから夜の部鑑賞へ向かいました。

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歌舞伎座130周年の三月大歌舞伎。演目は

一、於染久松色読販
二、神田祭
三、滝の白糸

先月に引き続き、仁左衛門・玉三郎コンビの共演が拝めるということで、一等席を奮発したところ、なんと、一階の4列目で鑑賞することになりました!
(ちなみに先月は、同じく一等にしたのに二階席だったという…)

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元々は幕見席の常連だった私にとっては、ここはもう未知の世界(笑)
定式幕が開閉される「ジャーッ」という音や、ツケの「バタバタ…」という音がいつになく大きく聞こえて、ギョッとしてしまうことも度々。

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緞帳の織目もくっきり、はっきり見えました!
…もちろん、歌舞伎は(特に歌舞伎座では)舞台から遠い席で観ても、十分にその魅力を楽しめるもの。
むしろ、引いた構図で鑑賞した方が、舞台の全容を余さず味わえるくらいだとは思うのですが、かぶりつきで拝む「仁左玉」の醸し出す色気、艶やかさ、愛嬌といったら、もう瞬きするのも惜しいほど。

芝居の最中、踊りの最中、丁寧に繊細に視線を交わし合い、気持ちを込めていることがひしひしと伝わり…

夫婦そろって「悪の華」という形容がぴったりはまる土手のお六と鬼門の喜兵衛。粋でいなせな鳶頭と芸者。
二つの演目で、それぞれ役柄は違えど、睦まじくじゃれ合うご両人。

幕が閉まった瞬間、思わず口から洩れたのは
「お願いだから、シネマ歌舞伎にして永久保存して!!」
という言葉でした。

興行である以上は、客が見たいものを見せてほしい。こうでなくっちゃ、と、名コンビと同時代に生きて、同じ空間に居合わせられる幸せを噛みしめました。

ただ先月の舞台を鑑賞した後は、まだまだこんなに若々しくきれいなんだから、とお二人のこれからに期待してしまったのですが、「神田祭」の締めくくり、花道で客席全体を見まわし、深々とお辞儀をする姿に、「有終の美」というフレーズが頭をかすめたり…杞憂でありますように。

「滝の白糸」が始まる前に帰ってしまう人もチラホラいましたが、演出に回った玉三郎様のこだわりが隅々まで行き渡った泉鏡花の世界で、見応えがありました(凝った照明の美しかったこと!)。

愛の純度が高すぎて、幕切れの展開に心がついて行けず、目が点になったまま終幕…ではありましたが(凡人ですみません)、主演の中村壱太郎丈が一生懸命に役を務める姿が、そのまま白糸のけなげさに重なっていじらしいこと。

全ての演目で、脇を固める様々な年代の役者さん達がきっちりと良い仕事をしていて、本当に満足度最高の時間を過ごさせてもらいました。

2018年2月19日 (月)

二月大歌舞伎~高麗屋三代襲名

『高麗屋三代襲名の二ヶ月目となる「二月大歌舞伎」!
前衛芸術家・草間彌生氏デザインの襲名「祝幕」も登場!
歌舞伎座新開場以来となる大一座で歴史的襲名を寿ぐ大舞台!!』(松竹メールマガジンより)

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…という訳で、お祝いムードに満ち溢れた華やかな歌舞伎座で、襲名披露興行を観てまいりました。

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歌舞伎座タワーのギャラリーで開催中の特別展も見てみよう、と家を早めに出たのに、なんとまさかの休館日…残念。
お祝いごとにちなんで、幕間の食事は辨松の赤飯弁当、デザートにとらやの最中「弥栄」を買っていきましたが、写真を撮るのを完全に忘れました。

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草間彌生作の祝幕はこのようなデザインでした。眺めていると、得体のしれないエネルギーが迫ってくるような。とにもかくにも力強い!

この日鑑賞した夜の部の演目は

『熊谷陣屋』
『壽三代歌舞伎賑』
『仮名手本忠臣蔵  七段目』

新・幸四郎が演じる主役の熊谷次郎直実を見て、こんなに貫禄のある役者さんになっていたんだなぁ、と改めて感じ入るものがありました。
二幕目は、襲名披露口上を芝居仕立てに一工夫。木挽町の芝居小屋へ襲名興行を見物に来た、という体で幹部役者、花形役者が両花道をずらりと埋める、という重量級の豪華さです。
こんなに「どこを見たらいいかわからない」と焦った舞台も久しぶりかも(笑)
芝居茶屋の亭主を務めた仁左衛門丈が、自分の台詞が無い時でも、ずっとにこやかな表情で喜ばしい思いを表現していたのが印象的でした。
その女房のお玉として、玉三郎さまが登場した時のうれしさと言ったら(感涙)

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主役の高麗屋三代には申し訳ないですが、今回激戦のチケットを入手したのは、「七段目」のお軽と寺岡平右衛門を、久々に仁左玉コンビで観られるから!

2010年の暮れ、やっぱりこの二人の「七段目」観たさに、京都の南座へ行きました。(その時のブログはこちら
市川海老蔵丈が傷害事件に遭い、代役で片岡愛之助丈が外郎売を演じて話題になった公演でしたから、時の流れが感じられるというもの…

舞台の上で、兄妹として二人が交わす「会いたかった、あいたかった」という台詞は、もう本当にこっちが言いたいです…と目頭が熱くなる思い。
妹を思いやる兄の情け深さ、お兄ちゃんに甘える妹の気安さに、何十年と共演者として同じ時間を過ごしてきたお二人の絆、歴史が垣間見えるようでした。

このオリンピック期間中、65才以上の肺炎予防、のCMで玉三郎様をたくさん拝見しましたが、その年齢が信じられない、チャーミングな色気や愛嬌あふれる身のこなし。その傍らでどこまでも格好良く包容力を見せる仁左衛門様も同様で、前回観た時から「老けた」という感じは微塵もない。

実際のところ、これが見納めかという覚悟を胸に臨んだのですが、終演後に友人と洩らした感想は

「まだまだ、ぜ~んぜん大丈夫だ!」

というものでした。
それを決めるのは役者本人だぞ、という話もありますが(苦笑)、あと何年でもトップランナーとして、夢の美男美女カップルを舞台で観せていただきたい、と心から願った夜でした。
来月の共演も今から楽しみです!

2018年1月 8日 (月)

池田重子 横浜スタイル展

今年初めての更新となります。
年明けを夫の実家で迎え、2日からは自宅でのんびり、駅伝三昧…という、例年通りのお正月を過ごしました。

初詣に出かけた氏神様には、心身の穢れを除く「人形(ひとがた)流し」が出来る池があります。
自分の名前が書けるようになったのがうれしい息子も、参道の行列に並ぶ合い間に張り切って挑戦。

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帽子を忘れて、パーカーを被りネズミ男スタイルで防寒

去年は長患いの湿疹にアトピー性皮膚炎との診断が下り、四季を通じて私も対策に追われる日々でしたが、今は症状も落ち着いています。
この1年も、元気に過ごせますように、と手を合わせました。

松が明けて、3連休。会期の最終日に駆け込んだのが、そごう美術館で開催されていた「池田重子 横浜スタイル展」。

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「引き継がれる美意識」というテーマが掲げられた本展。
池田重子さんご自身が横浜のご出身ということで、和洋取り混ぜたハイカラなセンスを前面に押し出したスタイリングがどれも楽しく、心が浮き立ちました。

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撮影可能エリアには、西武そごうの「おかいものクマ」ちゃんが振袖を着ていたり、いかにもお正月らしい親子連れを演出したコーディネートが。

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帯留のコレクションも豊富に紹介されていて、長い時間が経過しているとは信じられないほどの冒険心に満ちたセンスに感服しました。
おしゃれってなんて楽しいんだろう、ということを再認識させてもらった、豊かな時間を過ごすことが出来ました。

2018年は、平成30年、そして明治維新150年という節目にあたります。
移り変わる時代の来し方行く末に、意識を向ける機会も多くなる日々かと思われ、その始まりにふさわしい、温故知新の体験でした。

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鑑賞後は、夫と買い物をしながら待っていてくれた息子との約束で、原鉄道模型博物館へ移動しました。
クリスマスシーズンから引き続き、きかんしゃトーマスの世界が目の前に広がります。

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桜木町駅界隈を再現した鉄道模型では、よく見るとジオラマにこんなお正月風景が広がっていました。

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年末、幼稚園で覚えてきた切り紙細工に息子が大いにハマり、クリスマスツリーのないわが家にせめてもの賑わいを…と、壁に飾り付けてみました。
一ヶ月が経った今も、カラフルな部屋の一角に心が和んでいます。年中の一年間ももうすぐ締めくくり。

2017年12月24日 (日)

十二月大歌舞伎

今年、夫にリクエストしたクリスマスプレゼントは歌舞伎鑑賞。チケットと息子の子守りをセットでお願いして、イヴの夜に歌舞伎座へ向かいました。

日中は家族で出かけて、日没後は、東京駅から丸の内エリアに広がるイルミネーション、東京ミチテラスを鑑賞。点灯の瞬間から、ピカピカと眩く変身した街並みを一緒に楽しんで解散しました。

171224kabukiza今月の歌舞伎座は三部制。私のお目当ては、坂東玉三郎と市川中車が共演する第三部です。
演目は、長谷川伸の戯曲「瞼の母」と舞踊「楊貴妃」の二つ。

幼い頃に生き別れになった母を捜し求めるやくざと、突然現れた息子を前に、今の生活を守ることを咄嗟に選んで拒絶してしまう母。

主人公の渡世人、番場の忠太郎を演じる市川中車、こと香川照之さんの、世間によく知られた実人生と、否応なく重なって見えてしまう物語で…
真情あふるる、という言葉がぴったりの熱演は、やはり胸に迫るものがありました。

忠太郎が母親を尋ね歩く中で出会う、恵まれない女性たちとの束の間の出会いと別れが、それぞれ情愛深く忘れがたい印象。
特に、夜鷹おとらを演じた歌女之丞さんが安定の名演技でさすがでした。

憧れの、ファンタジーとして胸に抱いていた時には、ひたすら甘美だったはずの母子の愛。
それが、現実の母と対面してみたら、お互いの立場や事情や背負っているものが、簡単には素直にさせてくれない。
結果、お互いの思いをこじらせて、別れていくしかない結末。
いつの世にも人にはありがちなことだなぁと思いつつ、やりきれない切なさを噛みしめました。

「楊貴妃」は打って変わって、ひたすら美しい玉三郎様に酔う幸せな時間でした。
照明の光を集めてきらめく、楊貴妃の衣装や髪飾りは、街のイルミネーションに負けない華やかさ。
今年のイヴの夜は、とにかくキラキラ、の一語。幸せな時間を贈ってもらって感謝です。

2017年12月 7日 (木)

怖い絵展

中野京子著「怖い絵」
シリーズ三部作はどれも、早くページをめくりたい、でも読み終わってしまうのが惜しい…と、面白い本に出会った時独特の興奮を味わいました。

心のままに美しさを「感じる」だけでなく、時代背景や作品の下敷きとなった物語を知って「読み解く」ことで、絵画はより深く味わうことが出来る。
数ある人間の感情の中でも、「恐怖」というポイントに焦点を当てたことで、文字通りゾクゾクするような新鮮な発見をさせてくれた美術書です。

読む前と後では、全然印象が違って見える絵がいくつもあった本。刊行10周年を記念した「怖い絵展」が実現すると知った時から、絶対観に行く!と楽しみにしていました。

…が、張り切って前売り券を入手したのに、気がつけばどんどん時間が過ぎていき、結局は会期が終る10日前に駆け込みで上野の森美術館へ。

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なぜか本展覧会とのコラボが実現していた「紙兎ロペ」。上野駅にはこんなポスターが。
音声ガイドにもアキラ先輩とロペが登場する特典が入っていて、怖い絵に囲まれながら「くくく…」と含み笑いが漏れてしまうという…

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展覧会の目玉は、ロンドンナショナルギャラリーから来た「レディ・ジェーン・グレイの処刑」。
会社帰りの夫と一緒に観たので、美術館に向かったのは夜だったのですが、闇の中に浮かび上がるポスターはホントに怖かった(苦笑)

実際の作品は横3mにも及ぶ大作。権力欲の犠牲となって、16歳で処刑される元女王の最期の姿は、目隠しをされているのに、白布の下からこちらを見つめられているような迫力があって…なかなか立ち去りがたいものがありました。

絵に隠された「怖さ」の解説も丁寧で、大混雑の場内ではありましたが、見ごたえのある内容でした。
それにしても主題が主題だけに、絵画の内外について「実は…」と紐解かれる物語は哀切なものが多く…
美しいものを観た心地良さと、同じくらいの「人間ってやつは…」という切なさを、両方胸に抱えて帰った次第です。