多くの記憶に残る場面を置き土産に、ソチ五輪が閉幕しました。
ジャンプ団体やノルディック複合のメダル獲得を喜びつつも「リレハンメルから20年?!長野から16年?!!」と、月日の過ぎる早さに愕然としたり、スノボのメダリストのお母さんが自分より若いという事実に茫然としたり…(苦笑)
何かと寄る年波を実感することが多かったですが、レジェンド・葛西選手の気概に「四十代、がんばろう!」と勇気をもらった次第です。
「オリンピックとワールドカップは、観る者にとっても闘い」
…というのが信条(?)だった私。
それは、リアルタイムで結果を見届けたいのと同時に、ニュースやワイドショーでは偏った場面だけが切り取られ、横並びで延々繰り返されるのにうんざりしているからでもあります。
未編集でスポーツしか生み出せないドラマを味わうには、ダイジェストでは物足りない!…という思いから、睡眠時間を削り時差に挑むのが恒例でした。
ただ、さすがに今大会は“いろいろ見逃しちゃったなぁ…”という感じです(^-^;
それでも、これだけは譲れぬ!と、フィギュアスケートは息を詰めてLIVEで応援していました。
(フィギュアスケートの試合って、実は淡々と生放送で観られるのは(有料放送以外では)オリンピック以外にはほとんど機会がないのです)
いろいろな種類の涙が日替わりでこぼれ落ちた、そんな日々でした。
メディアにはほとんど取り上げられていないけれど、結成1年で立派な演技を見せた高橋・木原ペア、クリス君の大怪我と戦いながらがんばったリード姉弟。
万全の状態ではない中で、魅せる演技を滑りきった大ちゃんもあっこちゃんも、初めてのオリンピックで立派に戦った町田くんも佳菜子ちゃんも…日本の選手だけでなく、長い間第一線で活躍してきた選手たちが、それぞれリンクで見せた演技や表情の一つひとつに、心を揺さぶられました。
女子シングルの試合が行われた翌朝は、職場の皆でしばらく興奮が醒めず、笑い泣き。
こつこつと積み上げた努力を形にして、真央ちゃんにしかできない6種の3回転ジャンプに挑んでほしい、と4年間見守っていたファンとしては、結果に関係なく「夢がかなった」瞬間でした。
シーズン序盤の初お披露目で「矢車菊の精みたい」と嬉しくなってしまった青いコスチューム。その後は別の衣装で滑っていたのが、この舞台で復活して、そしてあの記憶に残る名演技。本当にうれしかった!
一夜明けても、ありがとう、おめでとう、という言葉をずっと心で繰り返していました。

嗚咽の中、さらに涙腺にダメ押しをされた信夫先生のこの表情。すでに古武士の境地…
そして、十代にして記録的快挙を打ち立てた羽生くん。
日本の次代のエースどころか、世界の頂点に立って、皇帝プル様から直々に(?)跡目を譲られたようなものなのだから、本当にすごいことです。
試合後のインタビューで、震災からの復興に寄せる思いを語った言葉にも胸を打たれました。
リンクが被災し練習環境を奪われたあの年、彼が全国のアイスショーを回って滑り続けた…という話はすっかり有名になりましたが、今回のエキシビジョンで滑った「白鳥の湖」が、まさにその頃披露していたプログラムでした。
震災から1ヶ月足らず、ショー行脚の日々の第一歩となったのは、神戸で行われたチャリティー演技会。
演技後、息を弾ませながら一生懸命、紙に書いた挨拶を読み上げる羽生君の姿に、客席にいた私も周囲の観客も、みんな涙をこらえきれませんでした。
翌日から営業を終了して室内プールになるというリンクで、派手な照明も生演奏もなく…
それでも、出演する一人ひとりのスケーターの思いが伝わってくる、本当に素晴らしいショーだったことを鮮明に覚えています。
まるで大きな虹のように見事な軌跡で飛んだ、ゆづちゃんのトリプルアクセルの見事さも!
この子は色々なものをその細い肩に背負って、それでも前に進んでいくだろう、どうぞ折れないで…と、その場にいた誰もが願ったと思います。
「復興の街、神戸から」というタイトルで、発起人の中心となっていたのが髙橋大ちゃんでした。
あの日があって、今がある。
個人競技でありながら、日本のフィギュアスケーターは本当に温かい仲間意識でつながっていますが、皆で歴史をつないでここまで来たんだなぁ、と思うと感慨深いものがありました。
真央ちゃんのあの渾身のフリーが、金妍児の演技よりスコアでは劣る。それが採点競技としてのフィギュアの現状です。
でも、本当に素晴らしい演技って、得点もジャッジも関係ないところで人々の記憶に刻まれていくのだと思います。
「最後は笑って終わってほしい」というのは、選手に向けた心からの応援の気持ちだけれど、実のところは「自分も一緒に笑いたい」という願望も含まれているのですよね。
泣き上戸の私の場合は、どう転んでも涙、なみだになってしまうのですが(苦笑)
人が人を思うこと、目標に向けて努力すること、自分との戦いに負けても、そこから強く立ち上がること。
その尊さを、またスポーツから教えてもらえた17日間でした。
二人のこの笑顔、最高でした!
ウクライナの状況など見ると、オリンピック観戦に一喜一憂できる平和な暮らしのなんとありがたいことだろう、と思います。
当たり前と思わずに、ちゃんと大事にしていかなければ罰があたりますね。
※長らく更新しないでいた間に、当ブログが20万アクセスを超えていました。皆さまのご訪問に感謝します。マイペース更新のブログですが、これからもよろしくお願いいたします。
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