ぼくのお日さま
アイスホッケーが苦手な少年は、スケート場でフィギュアスケートを練習する少女に惹かれ、やがて彼女のコーチの指導で、二人でアイスダンスのペアを組むことになる…
新進気鋭の奥山大史監督作品、カンヌ国際映画祭で絶賛、等々の情報より何より、このストーリーのプロットが、あるフィギュアスケーターのファンには刺さる要素満載で(要するに高橋大輔さんのキャリアに色々重なるってこと)、公開を楽しみにしていました。
初雪が舞った日から、町に降り積もった雪がすべて溶けて消える頃までの、ひと冬の少年と少女と大人たちの物語。
意図的に、周到に準備をして創り出された映像なのに、奇跡のような美しい時間を、自分だけが偶然目撃しているような感覚で、ずっと息をひそめて見入ってしまいました。
覚束ない少年のスケートがぐんぐんと上達していく様子や、凍った湖面を滑りながらはしゃぐ3人の場面の多幸感は、どこか刹那的な儚さと背中合わせで、涙がにじんでくるほど。
繊細で、キラキラと光を受けてまぶしく輝いているガラス細工のような。
ふいに飛んできた石礫のせいで、粉々に砕け散ってしまっても、そのかけらをすべて集めて、瓶に入れて飾っておきたくなる。
私にとって、宝物のような映画がまた一つ増えました。
大島依提亜さんのアートディレクションが素晴らしいパンフレット。どこを切り取っても美しい映画のスチールが写真集のようで、カンヌでのキャスト陣のオフショットや座談会など、大変充実した内容で、こちらも大変、よかったです。
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