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2024年9月 7日 (土)

国立劇場9月歌舞伎公演

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今月は、歌舞伎と文楽で「夏祭浪花鑑 」をW上演するという、何とも心躍る企画が新国立劇場で実現しています。

これまで古典でも新作でも「堅実に脇を固める」、という立ち位置で活躍してきた坂東彦三郎さんが、主役の団七九郎兵衛に大抜擢。兄弟分の一寸徳兵衛を、実弟の坂東亀蔵さんが演じるということで、驚きと同時に膝を打つ、期待高まるキャスティング。

半蔵門の国立劇場が閉まり、仮住まい感のある初台での歌舞伎公演。何とかマイナスをプラスに転換したいと製作陣も苦心しておられるのか、ロビーにフォトスポットがあったり、序幕の舞台は開演前から幕が開いていて撮影可だったり、新しい試みが。SNSでの拡散効果も大いに期待してのことでしょう。確かに、歌舞伎を一度は見てみたいという方には、本当に今月のこの公演はおすすめです。一人でも多くの方に観てほしい!

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今月の主役は、歌舞伎役者の中でも群を抜くイケボの持ち主。登場直後、「へーい…」という受け答えの第一声でもう、低音の魅力が炸裂していて、ああ、これから彦丈の団七が観られるんだ!と期待が高まりました。

男に生まれたからはこうあるべき、という信念を貫く一方で、超人的なヒーローというより、ちょいワルな市井の人。弱さも浅さも併せ持った、観ているこちらと地続き感のある団七。だからこそ、運命の落とし穴に足を取られて、破滅する最後が胸に迫って…

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今回の舞台は、苦心の末か、直角に曲がる花道が客席内を貫き、普段見ない角度で揚幕の向こうに去っていく団七を見送ることになったのですが、もはや生きながら彼岸に行ってしまうようなその背中が忘れられません。

脇を固める面々も堅実で、素顔は似ていると思ったことがないのに、亡父左團次さんに生き写しに見えること度々の市川男女蔵さんにびっくり。そして、このお芝居を色々な座組で観てきた中で、毎度おつぎさんを中村歌女之丞さんが手堅く演じてくださるのが私は嬉しい。団七を襲う悲劇の起点は、すべてこの気の良いおかみさんなのだと思うと怖いのだけど…半分影の世界に生きて、連れ合いの「ワル」の部分にこそ惚れている。天下の法や常識とはズレたルールに身を捧げる、この芝居の世界の人達を、一際リアルに体現する存在だと思うのです。

歌舞伎座のサイズだからこそ実現出来る目眩ましはちょっとこの劇場ではキビシクて、長町裏の殺しの場面、義平次は泥場に沈むというよりどう見ても階段を降りてたし、定式幕が袖でカーテンみたいにまとめられるんだ!と妙なところに気が散ったりもしました。一方で、贅沢に役者さんを近くで感じることが出来て、花道を真正面から観られる席に座ったらどんなにスゴいか。試行錯誤の過程を目撃出来たことは、貴重な経験でした。

いつかまた、彦丈の団七は必ず拝見したいです。

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