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2019年6月11日 (火)

氷上の王、ジョン・カリー

190611theiceking

私は伊藤みどりと同学年の生まれ。
幼心に現役時代の佐野稔を「かっこいい!」と思い、ロビン・カズンズやらフィリップ・キャンデロロやらを経て、ついに髙橋大輔という選手に出会い完全に沼に落ちる、という世代の男子フィギュアスケートファンです。

今、公開されている「氷上の王、ジョン・カリー」というドキュメンタリー映画の主人公の滑りを、この度スクリーンで対峙するまで、まったく見たことがありませんでした。
ただ、髙橋大ちゃんと二人三脚で歩んでいる長光歌子コーチが、折に触れて、「かつてジョン・カリーという選手がいて、それはそれは素敵だった」ということをインタビュー等でお話されていたことで、その名前を記憶していました。

多様性への寛容さ、という点において現代とはまったく違う時代に、金メダリストであり同性愛者である、という葛藤を抱え、AIDSにより命を落とした伝説のフィギュアスケーター…その人生の歩みの厳しさは、事実を淡々となぞるだけでも胸に迫って、苦しくなってくるのですが、その哀しみのトーンに包まれてなお、なんと彼のスケートの美しく、優雅で、完壁だったことでしょう!

プログラムに組み込まれているジャンプは、まだダブルアクセルやトリプルトゥループ(それでも高難度技認定だった)。
でも、彫像のように身じろぎもしないアラベスクの形で延々と滑るスパイラル、コンパルソリー(基礎)も得意だったことが伺える滑らかなステップ、軸のぶれないスピン、しなやかな腕や手指の表現…
決してジャンプの難易度だけではない、フィギュアスケートの「美の真髄が宿る場所」を、こんなにも体現していた人が、こんなにも遡った時代にすでに存在していたなんて。

ここから始まって、ここでもう完成してたんだ!

その驚きにずっと心を動かされていた上映時間でした。

 

「そんなものは男らしくない」という誹りに生前は苦しみ抜いたであろうジョン・カリーですが、長身で、まさに男性的な体格ゆえに、ショースケーターになり自身のカンパニーを立上げた後は、女性とペアを組んで素晴らしいプログラムを生み出していました。
男子フィギュア大国になった日本だけれど、今のトップスケーター達にはこれはなかなか実現が難しいことで、いやはや凄い人がいたものだ…と、映像の記録が残っていたことに心から感謝した次第です。

アスリートとジェンダーの問題、LGBTQの人々を取巻く差別や偏見など、今も後を引くテーマについても深く考えさせられる作りになっている映画ですが、カリー本人のインタビューに出て来た

フィギュアスケートなどの芸術は、人々に「生きていてよかった」と思わせるもの、自分は人々の心を動かせたことをうれしく思う。

その彼の言葉に、深く深くうなづきました。長い長い時を経て、ジョン・カリーの「牧神の午後」が、「海賊」が、「ドン・キホーテ」が、「シェヘラザード」が、遠い日本で私の心を確実に揺さぶっています。

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