2018年12月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

* link *


無料ブログはココログ

« 七宝焼ワークショップ | トップページ

2018年12月25日 (火)

十二月大歌舞伎~二つの阿古屋

181217kabuki1
今年もたくさんの楽しい時間を過ごさせてもらった歌舞伎座。
去年に引き続き、今年も玉三郎丈に年納めの夢を見せていただこう、と夜の部を観てきました。

181217kabuki3
今月の公演は変則で、壇浦兜軍記で玉三郎様が阿古屋を務めるAプロと、若手女形の梅枝さん、児太郎さんが日替わりで阿古屋に挑戦するBプロが、ほぼ2日おきに上演されていました。

長い間、「現在は玉三郎しか演じることが出来ない演目」とされてきた阿古屋琴責めの段。
映像では何度も目にしてきましたが、やっと今回、Aプロを鑑賞して念願がかないました。

181217kabuki2
しかも奮発した1等席、生まれて初めて最前列で舞台にかじりつくことに…ポジション的に、ここは阿古屋が座る場所のすぐ近く…!と、定式幕が開く前から心臓が早鐘。

琴、三味線、胡弓を実際に演奏しながら、行方知れずの恋人を思う心情を表現する、という女形の大役。
詮議の場に引きずり出されて拷問されかける、というシチュエーションがすでに緊迫感に満ちているのですが、文字通りのかぶりつきで観てみてよくわかったことは、難役に挑む玉三郎丈を支える舞台上の人々にも、並々ならぬ気迫と緊張が張りつめていること。

客席の大勢の観客の視線ばかりか、共演の役者も、伴奏や長唄を合わせる奏者も、阿古屋の一挙手一投足に意識のすべてを向けている。
そんな重圧、並の神経では到底受け止められないと思うのですが、そこは女形の最高峰に立った方。琴や三味線の調べから、揺れる女心が伝わってくるようで…

「胡弓弾け、胡弓弾け」と命じられる頃には、いつしか堂々たる傾城の風格と誇りを取り戻し、水を打ったように静まり返る劇場内に咽び泣くギターソロ、じゃなかった、胡弓ソロが響き渡る。
ファン歴四半世紀以上、最接近遭遇した玉三郎丈は、さすがに重ねた年令を感じるところはありました…が、それ以上に、重ねてこられた修練の重み、厚み、尊さに胸打たれて、幕切れでは拍手しながら涙をこらえきれませんでした。

181217kabuki4
すっかり歌舞伎座に馴染んだ中車さんの持ち味が活きた二人芝居「あんまと泥棒」、梅枝&児太郎の溌溂とかわいらしい「二人藤娘」を観て、夢見心地のまま帰路につきました。

181217kabuki5
歌舞伎座タワー地下の木挽町広場では、金の星の代わりに鳳凰を頂いたツリーがお目見得。ちりめん細工のような和柄のオーナメントが凝っています。

後日、歌舞伎見物の初心に返って…という訳ではないですが、久しぶりに幕見席のチケットを求める行列に1時間並び、もう一度夜の部を鑑賞しました。

お目当ては、玉三郎様の指導を受けて大きな役に挑戦する、中村梅枝さんの阿古屋。玉三郎自身は、赤面の悪役である岩永左衛門を演じるというレアな配役も観ておきたくて。

4階の幕見席から観る舞台の図は、最前列とはもちろん異なる光景でしたが、歌舞伎座の良いところは、だからといって舞台の魅力が削がれるものではないこと。
むしろ引きの構図で観ることによって、計算された見せ場が一番美しく、一幅の絵そのものになる利点もあります。

Aプロの「二人藤娘」では、間近で顔中が汗でぐっしょりだったのが印象に残った梅枝さん。
玉三郎様の風格をひたすら崇めていた阿古屋とは、ちょっと違った心持ちがこちら側にはあったのですが…
なかなかどうして、教わったことを誠実になぞって努力されたことが、立派に舞台上で華開いていました。古風な風情のある梅枝さんに傾城の鬘や打掛は本当によく映えていて…

拝見した日が、梅枝さんにとっては阿古屋の楽日。でもこれは終りではなくて始まり、満場の拍手にはそんな期待もたくさん込められていたと思います。私ももちろんその思いでした。

« 七宝焼ワークショップ | トップページ

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 七宝焼ワークショップ | トップページ