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2018年4月19日 (木)

四月大歌舞伎~通し狂言 絵本合法衢

四月の歌舞伎座は、昼の部夜の部共に、人間国宝が二役で悪人を演じるという趣向。

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宣伝文句は「悪の桜が咲き誇る歌舞伎座」。
私は、大好きな片岡仁左衛門丈が一世一代、つまりはこれが最後と宣言しての「絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ)」を鑑賞してきました。

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自分の楽しみには、やりくりやら算段やらが必須の身の上。この日も幼稚園から帰った息子を実家に託して、ギリギリ歌舞伎座に滑り込み。
お弁当を買って行く余裕もなくて、場内で以前から気になっていた「グリル梵」の「ビーフヘレカツサンド」を頂いてみました。

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じゃーん!ドーン!見惚れてしまう切り口のルックス(笑)
死屍累々の脂ぎった悪の絵巻にはピッタリの食べ応えで、我ながら大満足のチョイスでございました。

鶴屋南北原作、極悪非道の主人公、侍と町人の一人二役…と、去年の十月に国立劇場で観た「霊験亀山鉾」と印象がかぶる今回のお芝居。
その際も思ったことですが、ご本人はあれだけ心の温かさに満ちたジェントルマンなのに、仁左衛門サマが「自分のことしか愛していない人間」を演じると、何故にこれほど真に迫り、その上魅力的に映るのだろうか。
本当に不思議です。

この日は、出がけに言う事を聞かない息子に手を焼いたこともあり、冒頭で意に沿わない村の子どもをバッサリ斬ってしまう場面など、思わず「いいぞいいぞ!」と心の中でこっそり拍手喝采(笑)

悪の限りを尽くした果てに、最後はどんでん返しの展開で勧善懲悪、となって物語は幕切れ。
討たれたばかりの主人公、大学之助がやおら起き上がって居ずまいを正す様子を見て、近くに座っていた外国人観光客のカップルはビックリした様子でしたが、その時点で場内はもう、割れんばかりの拍手に包まれていました。

予算の範囲内で出来るだけ近くで拝見したい、と、桟敷上の三階席で鑑賞していた私は、
「まずこんにちはこれぎり」
という切り口上を述べる横顔を見つめる格好になりました。
その表情にも声音にも、全身全霊今日もお役をやりきりました、という思いが溢れているのが伝わってきて、ああ、この場に一緒にいられた幸せよ…と感涙。

こんなに素敵なのに、まだ充分すぎるほど見事なのに、もう自分で幕を下ろしてしまうのか、でもご本人にしかわからない「域」がある以上、これも仕方のないことなのだ…と、万感の拍手を送った夜でした。

千秋楽には、喝采が鳴りやまず、楽屋ですでに着替えていた仁左衛門丈が舞台に戻って異例のカーテンコールをされたと聞きましたが、それだけのことを観客にさせる見事な一世一代の舞台でありました。見届けた証人の一人になれて本当に良かったです。

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