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2016年3月 4日 (金)

シネマ歌舞伎「喜撰/棒しばり」

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先月からのインフルエンザ大流行は、息子が一時保育でお世話になっている保育園でも影響を免れず、在園児以外の受け入れを休止するという事態にまでなった時期がありました。

本当はもっと早く映画館に行くつもりだったのが、そんな番狂わせもあってやっと鑑賞できた、シネマ歌舞伎の最新作。
三津五郎ファンの端くれとしては、ぜひとも封切り時に観ておきたかったのです。

舞踊の素養はまるで無い私のような素人も、足のつま先から手の指先まで自由に操っている、三津五郎丈の動きの美しさには惚れ惚れしていました。

「喜撰」は、三津五郎丈が亡くなった際、その衣装が棺に納められたというほど思い入れのある踊り。
熟練の芸と合わせて、後ろに所化役でぞろりと居並ぶ歌舞伎界の御曹司たちを探すのも楽しい演目。
でも私のお目当ては、勘三郎と三津五郎、という盟友の競演、今となればどんなことをしても生の舞台で観ておきたかった…と悔やまれる「棒しばり」でした。

勘三郎丈の葬儀で三津五郎丈が読んだ弔辞でも、この「棒しばり」のことが出ていたのを覚えています。

「二十代から八回も演じた棒しばり。
はじめの頃は、お前たちのようにバタバタやるもんじゃない、春風が吹くようにフワッとした感じでやるものだと、諸先輩から諸注意を受けましたが、お互いに若く、負けたくないという心から、なかなかそのようにできなかった。
それが、お互いに40を超えた七回目の上演のとき、「やっと先輩たちの言っていた境地の入り口に立てた気がするね」と握手をし合ったことを忘れません。
長年の経験を経て、お互いに負けたくないという意識から、君には僕がいる。僕には君がいるという幸せと感謝に生まれ変わった瞬間だったように思います。」

その後、涙で声を震わせながら、肉体の芸術ってつらいね…そのすべてが消えちゃうんだもの。と、この世を去ってしまった友の死を悼んだ三津五郎丈の表情が忘れられません。

今回上映されているのは、2004年の歌舞伎座公演。
たった10年で、世界はなんと変わってしまうことだろう…とため息が出る一方、舞台の上で心の底から楽しんでいた二人の時間はこうして再生出来るのだから、「すべてが消える」わけではないのだとも思いました。

勘三郎丈の二人のお孫さんは、勘太郎・長三郎を襲名して初舞台のお披露目が決まったとか。
それぞれのご長男(勘太郎・巳之助)の棒しばりもすでに上演されており、名コンビがこんなにも早くこの世から去ってしまったことの口惜しさは消えないにせよ、受け継がれる遺伝子を見守る楽しみを味わっていきたいものです。

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コメント

シネマ歌舞伎のこの作品、ごらんになれたんですね。よかった。
三津五郎さんの弔辞にそんなくだりがあったとは、知りませんでした。しみじみしてしまいました。
私も「棒しばり」を勘三郎と三津五郎の組み合わせで見たことがなかったので、シネマ歌舞伎で見ることができてほんとうに「良かった!」と思いました。
名舞台ですね。この役者さんたちを喪ったことがいまだに惜しまれます。

>1go1exさん

何とかスクリーンで観ることが出来ました!ありがとうございます。
元がアナログ映像で、近年のシネマ歌舞伎を見慣れた目には画像の粗さが目につきましたが、それでも二人の全身からワクワクするような喜びが溢れて、伝わってきましたよね。こういう形で後世に残せるのはおっしゃる通り「良かった!」の一言です。
次回作の「阿弖流為」もぜひ観に行きたいです。

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