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2012年3月25日 (日)

花森安治の世界

日曜日、島根県立美術館を目指して、松江へ出かけてきました。

車を走らせていると、道路沿いに「黄泉の国への入り口」という看板が目に飛び込んできたりするところは、さすが神話の国…(@Д@;
イザナギ・イザナミの物語に出てくる黄泉比良坂はここだったと伝えられる場所があるそうです

観に行ったのは企画展『くらしとデザイン-「暮しの手帖」花森安治の世界』
生誕百年となる、花森安治さん(旧制松江高等学校の卒業生)の大回顧展です。

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美術館のロビーからは宍道湖が一望できました

花森さんが創刊した「暮しの手帖」。
その昔、実家で定期購読していた時期があり、子どもの頃は小学館の学習雑誌とあわせて夢中になって読んでいました。
(実は、当ブログのタイトルにもリスペクトをこめております)

藤城清治さんの美しい影絵が楽しみだった童話のコーナー、母は読むだけで作ってくれないので、味を想像してお腹をすかせたロイヤルホテルのレシピのページ(笑)
海外で現地取材した記事も時々載っていて、パリの下町でビストロのコックさんがどんな料理を作っているか、のみの市で買った古着で女の子はどんなおしゃれを楽しんでいるか…などなど、今でも覚えているくらい、繰り返し読んでは憧れていました。

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私の記憶にある「暮しの手帖」は、花森さんが亡くなった後の時代に発行されたものですが、ロビーにバックナンバーを手にとって読めるコーナーがありました。
(日替わりで、この日は昭和23年の創刊号から29年の25号までが登場)

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創刊号に載っていた記事。ブラジャーの作り方が紹介されています。
マドンナかレディ・ガガか?と見紛う、ワイヤー使いにビックリ…( Д) ゚ ゚

創刊時のタイトルは「美しい暮しの手帖」だったそうです。
ページをめくって見れば見るほど、70年前の女性はなんと狭い家に住んで、何もかも一から自分で作り、一つひとつの家事に手間をかけていたことか…と恐れ入りました。

今よりずっと、当たり前の生活を整えることにたくさんの労力を要した時代に、それでも
「美しいこと」
「より良いこと」
を求めずにいられなかった、人々の思いが透けてみえるようで。

展覧会は、雑誌の表紙やイラストの原画、装丁を手がけた本、中吊り広告のレイアウトなど、見応え十分のものでした。
懐かしくて、でも今の感覚で見ても十分にかっこ良く、そしてどこか尖った感じがおしゃれ。ほっこり、とかいう生ぬるさとは対極にいる感じに、しびれました。

お金をたくさん使わなくても、新しい機械に飛びつかなくても、センスと工夫と知識で、暮しの質はいくらでも高められる…ということ。
子どもの頃は、単純に「楽しい、面白い」と思って読んでいた雑誌に込められたメッセージを、今、あらためて大事に受け止めたいです。

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湖畔に建つ美術館は、宍道湖に沈む夕日がセールスポイント。冬場を除いて、閉館時間は「日没の30分後」というのがユニークです。
(この日はあいにくの曇り空で、夜には雨、やがて大粒の雹に変わりました)

芝生の上を点々と走り抜けているのは、「せんとくん」の生みの親、藪内左斗司さんが作った「宍道湖うさぎ」という彫刻。

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前から2番目のうさぎさんを触ると幸せになれるのだとか。そしてしじみをお供えすると、さらにご利益があるそうです。
…って、すべて後になって知りました…作品だから触っちゃいけないのかと思ってたヨ(泣)
これは是が非でも再訪しなければ!

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この日のランチは、蕎麦の栽培から手がけているこだわりのお蕎麦屋さん、「ふなつ」にて。
蕎麦の香りがワイルドに伝わる割り子そば、細切りの上品な味わいのざるそば、そしてごま油の風味がきいている玉子焼き、どれも絶品でした。蕎麦好きの夫も大満足で、こちらも再訪決定。

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文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

「黄泉の国への入り口」というと私は漫画の「悪魔の花嫁」を思い出しました…
私も兎を触りに鳥取へ行きます!( ̄ー ̄)ニヤリ

 暮らしの手帖、私の実家でも一時期定期購読してました。
 バターを「バタ」と表記したり、なんかモダンでハイソな感じにしびれました。広告を載せないからこそできる公平な商品テストとか、一貫した姿勢もいいと思いました。
 花森安治の論説集とか「戦争中の暮らしの手帖」など暮らしの手帖の本もうちにあったなあ。
 「パリの空の下オムレツの匂いは流れる」って石井好子さんのお料理エッセイも美味しそうなもの満載でした。
 ああ懐かしい。
 そして今でも、暮らしの手帖別冊「ご馳走の手帖」はお気に入りの料理本です。

 それにしても、サリイさん視線の鳥取のステキなこと!
 宍道湖の夕陽が見たいです。
 ツアー組もうか、ツアー(笑) >mayさん

>mayさん

この世とあの世の境界線の看板、ってよく考えたらすごいですよね。
あの、イケメンのデイモスが似合う雰囲気とは言いにくい、純和風テイストの光景でしたが(笑)
黄泉の入口以外にも、いろいろな神話スポットが点在しているらしいです。
うさぎさんも可愛かったですヨ。鳥取経由で、松江に遊びに行けたら最高ですね!

>葉さん

一言一句同感で、とっても懐かしいです!石井さんの本は実家にあるはずなんですが、また手元に置いて読み直したくなりました。「ご馳走手帖」も読んでみたい。わが家には、結婚祝にいただいた「おそうざい十二ケ月」がありますよ。
「バタ」表記、そうでしたね~(笑)私は沢村貞子さんのご主人が連載していた、テレビドラマ批評のページも好きでした。

私の住む米子は、鳥取県と島根県の県境に近いので、松江方面は出かけやすいんです。
いつかぜひ、山陰ツアーを組んで遊びにいらしてください!

子供の頃の愛読書が「暮しの手帖」なんて、さすが~♪(´ε` ) あなたの感性は小さな頃から磨かれていたのね~。

なんでもあるこの時代、家事も育児も楽になってるはずなのに、なんだかとても気忙しくて、満足感が得られないのはどうしてだろう?
「暮しの手帖」の世界に憧れ、追いかけていた人達は、心を満足させるものをたくさん知っていたのかな。羨ましいです。

>R&Mさん

便利で豊かなはずなのに、ストレスも増すばかり。って、何なんだろうね。
この日は美術館で無料の講演会があって、「暮しの手帖」についてレクチャーを聴けたんだけど、一時は発行部数が90万部を超えて「国民雑誌」って言われていたんだそうです。
でも、そんな風にたくさん購読されていた時代が過ぎると同時に、世間の風潮は大量消費や使い捨てに流れていったんだよね。ぐるっと一周して、今の若い子たちの方がよっぽど、無駄遣いしないで工夫することを知っているかも?と恐縮するバブル世代であります(泣)

 花森は、戦時中に宣伝の仕事をしていました。彼はそのことを一生の悔いとして、「手帖」を創刊します。「生活を大切にしなかったことが戦争につながった」という考え方は、花森の痛切な戦争体験から生まれ、その思いは大橋鎮子に託されました。暮らしの中身を豊かにすることがあったかい家庭につながるという思いを花森は『手帖』に込めました。その完璧主義!社員のみなさんたちは大変であったと思います。
 生活を大切にすること、これを忘れてはならないと思います。

>まろさん

今回の回顧展は暮しの手帖を中心としたものだったので(あえて、かもしれませんが)大政翼賛会時代のことは年表的に、サラリと流されただけでした。でも、数々の広告作品のセンス、インパクトの強さを見ると、イヤな言い方ですが「戦時中もきっと、“いい仕事”してたんだろうなぁ」と想像つきました。
人々が生活を大事にしなかったから戦争になだれこんでしまった、という苦い思いが、あの仕事に結実していたわけですね。花森さんの書いた「一銭五厘の旗」を一度しっかり、読み直してみたいと思っています。

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