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2012年2月26日 (日)

鷺と雪

Photo

加齢と共に忍耐力と記憶力が衰えた結果として、シリーズものの「続きを待つ」ということが苦手になりました( ´・ω・`)

「イッキ見」「イッキ読み」でないと、細かい伏線が覚えていられないという哀しさ。
全巻刊行を待ってからイッキ読みしよう!と思って、待っていたことすらいつの間にか忘れる…というパターンさえあるのが怖い(苦笑)

北村薫のミステリ「ベッキーさんと私」シリーズもその一つで、図書館で見かけたおかげでまとめ読みして一気に、物語の世界に浸ることが出来ました。

今よりもっとわかりやすい、身分と貧富の格差があった昭和初期の日本。
上流家庭のお嬢様である主人公が、彼女に仕える凛々しい女性運転手「ベッキーさん」に支えられながら、周囲で起こる不可解な出来事を謎解きしていく連作です。

五.一五事件の年に始まる物語は、ミステリの小品としても、日本の近代史をなぞる歴史ものとしても読みごたえがありました。
この作家が主人公に据える女の子の、理屈っぽくも純粋で、まっすぐに「善きものでありたい」と願うところが、昔から好きです。

最終話となる「鷺と雪」では、二.二六事件の日に、それぞれの物語に散りばめられていたピースが一気に当てはめられて、鮮やかな幕切れを迎えます。
華やかな上流階級の生活を描きながら、少しずつ戦争へ向かう世相を匂わせていくのが哀しくもあるこの連作。最後の3ページで一気に、登場人物が住む世界の空気の色までガラリと変わるようで、何とも切ない…

都内は一面の銀世界だったという、1936年の2月26日に思いを馳せながら余韻に浸りました。

  

「鷺と雪」は直木賞受賞作品。文庫本の装丁画が品良く美しいです。

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